【ブログ】トイレからはじまる“いのち”の話 第2回 ~夜間頻尿で眠れない…原因と対処法を泌尿器科医が解説②~
- 2025年12月22日
- 読了時間: 6分
更新日:2025年12月23日
こんにちは。院長の秋山恭二朗です。
前回から少し時間が経ち、めっきり寒くなってきましたね。
寒さは膀胱へ刺激となるため、患者さんの中に排尿の回数が増えてきた、とおっしゃる方が増えてきました。
もしこのブログを読んでいる方の中にも、同じような方がおられましたら、日中はカイロなどで下腹部をあたため、夜間は腹巻、靴下などを着用し、部屋を暖かくするようにしてみてください。
※就寝中のカイロの使用は、低温やけどのリスクとなるため、厳禁です!
上記の通り体をあたためるだけでも、改善する方は多くいらっしゃいます。
もちろん、それで良くならなければ、ぜひ遠慮なく当院を受診してくださいね。
さて、前回は「そもそも“夜間頻尿”とはなんなのか?」という事でした。
今回は、まず前回紹介した検査の補足で、「排尿日誌について」詳しく説明したいのと、「病院に行かなくてもできる! 夜間頻尿の改善に有用な4つの生活習慣アドバイス」をお伝えしていきます!
「排尿日誌について」
前回さらっとしか書いていなかった「排尿日誌」、実が非常に大事な検査なのですが、さらっと書いてしまって、全然それが伝わっていないように思いました。
なので今回、より詳しくお伝えしていきます!
まず排尿日誌とは何なのでしょうか。
排尿日誌とは「何時にどれくらい尿が出たか」「どのくらい水分を飲んだか」「就寝・起床時間」などを2~3日記録するものです。
日誌をつけることで、自分の夜間頻尿のタイプが「夜間に尿が作られすぎている(夜間多尿)」のか、「膀胱の容量や機能の問題で少しの尿でも起きてしまう」のか、といった原因の見当がつきます。
原因が分かれば対策も立てやすく、治療法の選択も的確になります。
例えば、夜間多尿が主な原因なら水分・塩分コントロールやむくみ対策など生活指導が治療の土台になりますし、膀胱の過敏(過活動膀胱)が原因なら膀胱訓練やお薬による治療を検討します。
このように、排尿日誌は夜間頻尿の原因特定と「的を射た」治療選択に大いに役立つのです!
ただ一つ難点としては、日誌をつけるのは「メンドクサイ」んですよね…。
たった3日とはいえ、患者さんにとっては負担になります。
でもだからこそ、その「メンドクサイ」、以上の利点があることを、ここで伝えたかったのです!
もし当院を受診され、排尿日誌をお勧めさせて頂く場合には、日誌のつけ方も含め、より詳しくお伝えしますね。
さて、では次のテーマに行きましょう!
「病院に行かなくてもできる! 夜間頻尿の改善に有用な4つの生活習慣アドバイス」
原因にもよりますが、夜間頻尿の症状を和らげるためにまず試していただきたいのが生活習慣の見直しです。
実際、日本の最新の夜間頻尿ガイドライン(ガイドラインとは、私たち医者が治療をすすめていく指針の事です。)でも、こうした非薬物による生活改善策は、まず第一にお勧めできる治療法として位置づけられています。そこで、病院に行かなくてもできる、夜間頻尿の改善に有用な4つの生活習慣アドバイスを紹介します!
適切な水分管理
実は、多尿や夜間多尿の原因として、最もよくあるのは、「水分の摂り過ぎ」です。
適切な目安としては、正常な大人の場合、1日の尿量が体重1kgあたり約20~25mLになるよう、水分摂取を調整するのが良いと言われています。ただそうはいっても、尿の量を毎日細かく測って調整するのは難しいと思います。その代わりのわかりやすい基準として、1日に摂る水分を「体重(Kg)×20ml」程度にすることをお勧めします。例えば、60kgの人だと1日とる水分を1200ml程度にする。正常な体では、それ以上飲むと、飲んだ分、尿の回数が多くなります。
ただ2点、大事な注意点があります。
①「尿回数が増えるのが怖いから一切飲まない」は脱水のリスクがあるのでNG。飲みすぎもダメなら、飲まなさすぎもダメです。
②汗をかく場合は、その分追加で水分を取る必要があります。これも脱水予防のため。近年の夏は、びっくりするほど暑いですからね。
そして水分をとるタイミングも大事です。
ポイントは一日の水分“総量”を適正に保ちつつ、夕方以降は控えめにすること。日中にしっかり水分をとり、就寝前の「がぶ飲み」は避けましょう。特に寝る前のアルコールやカフェイン飲料は利尿作用や睡眠の質低下で夜間頻尿を悪化させるので夕方以降は控えるのがベストです。
塩分制限
食事の塩分を減らすことも有効です。塩分をとりすぎると喉が渇いて水分摂取量が増え、その結果尿量も増えてしまいます。特に夕食時の汁物や漬物、加工食品など塩分の多いものは控えるよう意識してみましょう。塩分の摂取を適度に抑えることは、高血圧などの生活習慣病の予防になるだけでなく、夜間頻尿の改善にもつながります。
食事の見なおし
日頃の食生活を見直し、適正体重の維持を目指すため、バランスの良い、カロリーをとり過ぎない食事を心がけましょう。
夜間頻尿は、糖尿病や高血圧、心臓病、肥満などの生活習慣病と関係があることがわかっています。メタボリックシンドローム(生活習慣病が複数合わさった状態)は排尿異常を悪化させる一因で、生活習慣を正さない限り、夜間頻尿の改善は難しいとも言われます。
逆に言えば、コツコツと体重を減らし食事内容を改善して糖尿病や高血圧のリスクを下げることで、夜間のトイレ回数も減らせる可能性があります。
バランスの良い食事と適度なカロリーコントロールで健康管理することが、夜間頻尿対策の土台となります。
運動
適度な運動習慣も夜間頻尿の改善に役立ちます。
日中に体を動かしてほどよい疲労を感じることで深い睡眠を促し、夜間に目覚めにくくなります。
特に夕方の散歩や軽い足の筋トレはおすすめです。ふくらはぎの筋肉を動かすとポンプのように働き、日中足にたまった余分な水分を心臓に戻して排泄させる効果があります。
その結果、夜間に寝ている間に尿として排出される水分が減り、夜間頻尿の軽減につながります。
上記のように、生活習慣の改善について行動を変えていくことが大事と伝えましたが、それぞれを単独で行うのではなく、総合的に、つまり組み合わせて実践することが大変重要です。
夜間頻尿は生活習慣病や日中の活動状況、睡眠パターンなど様々な要因と結びついています。ガイドラインにも「生活習慣を正さない限り夜間頻尿の改善は難しい」と明記されており、裏を返せば生活習慣全体を見直すことで症状改善が見込めるということです。
水分管理・塩分制限・食事管理・運動など、複数の取り組みを組み合わせ、自分に合った生活リズムを整えることで、夜間頻尿はかなり改善できるでしょう。
まずはできることから少しずつ、無理のない範囲で生活習慣の改善に取り組んでみてください。
最後に、こうした対策を行ってもなお、夜間頻尿がつらい場合や、日中の眠気・転倒の不安が強い場合は、遠慮せず、私たち専門の泌尿器科医に相談してください。先ほどお伝えした排尿日誌も含め、色々な検査をもとに、原因に合わせた適切な治療薬の検討や、さらに踏み込んだ対策を提案できるはずです。
次回は「夜間頻尿で眠れない…原因と対処法③」
夜間頻尿の原因の一つ、「夜間多尿」に対する治療について、お伝えできればと思います。
よろしくお願いいたします。
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